スマホを持たせる前に!3ステップでできる楽しい性教育

こちらのページは、「編集・ライター講座」で課題として制作した記事を掲載しています。
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下記に掲載している記事は、私が現在小学4年になる息子を育てていて、「性教育をすればいいことはわかってるけど、何からどうやってやればいいんだ!恥ずかしくてできない!」と悩みまくっていたことが元になっています(笑)。でも、きっと私と同じように悩む親御さんも多いはず。子どもの健やかな成長を願うお母さん、お父さんたちにこの記事が届くことを願っています。

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※本記事は、宣伝会議 第43期 編集・ライター養成講座の卒業制作として作成しています

スマホを持たせる前に!3ステップでできる楽しい性教育

「なんだか恥ずかしくて」「何からどう伝えればいいのかわからない」。子どもに性教育をした方がいいことはわかっていても、そう頭を悩ませる親は多いのではないだろうか。今回は、親や子どもに性教育を教えるプロ2人に、性教育を行うメリットや子どもが理解しやすい教え方、気軽に取り組めるコツを聞いた。

 

〝性産業大国〟ニッポンで暮らす子どもたち

世界に溢れるポルノコンテンツの約6割が日本で生産されている。日本は世界的な性産業大国だ。そんな日本で暮らす子どもたちは、内閣府のデータによると、小学生の86.3%はインターネットを活用し、40.1%は自分専用のスマホを所有している。

「子どもに渡していたスマホの履歴からアダルトサイトが見つかった。ユーチューブに出てきた広告をクリックしたみたいだ」と話すのは、筆者の友人で小学5年生男子の母親。もはや日本で暮らす子どもにとってアダルトサイトは身近な存在だ。

日本性教育協会のデータによると、初めて性交体験をした年齢別の割合は、昭和62年では中学生男子2.2%、女子1.8%、高校生男子11.5%、女子8.7%だった。それが現在では、中学生男子3.7%、女子4.5%、高校生男子13.6%、女子19.3%と、すべてのポイントが上昇している。性交体験の低年齢化が進んでいるのだ。スマホで簡単にアダルトサイトにアクセスでき、性交体験が低年齢化しているという状況が、現代の日本のリアルだ。

しかし、現在の日本の小学校では子どもたちに対してほとんど性教育を行っていない。文部科学省が定める学習指導要領において、学校では性行為について詳細に教えないことが記載されているからだ。そのため子どもたちは、小学校、中学校それぞれで1コマずつしか性について学ぶ機会がない。

ポルノコンテンツが溢れる中、小学生のスマホ所有率は 40%を越えている

 

女子高生が破水で緊急入院、性教育の必要性を実感

そんな状況に警鐘を鳴らすのは、都内にある大学病院の看護師を経て、現在は保健師として2,000人以上のお母さんから育児相談を受けてきた、さいとうまきさんだ。

「子どもたちは性について知りたがっていますが、学校では教えてもらう機会がありません。それで身近にあるスマホやタブレットを使って、性について調べる。そこで間違った情報を手に入れています。

また、性に関する知識があれば防げるはずの性犯罪に、多くの子どもが巻き込まれています。SNSやオンラインゲームのチャットを通じて知らない人と出会い、相手を疑わず気軽に会いに行ってしまう。性教育を受けていない子どもは、自分の体が狙われることが想像できないのです」。

2000人以上のお母さんたちの育児相談を受けてきた、保健師さいとうまきさん

さいとうさんが、子どもたちに性教育を行うべきだと考えているのは、かつて自身がNICUに勤めていた時の体験が元になっている。

「私がNICUにいた頃、ある高校生の女の子が破水をして運ばれてきました。でも彼女はその日まで、自分が妊娠していることにすら気づいていなかったんです。もともと生理不順だったから生理が来なくても不思議に思わなかった。母子手帳もなければ、妊婦健診を受けたこともない。運ばれてきてすぐ、あれよあれよといううちに出産しましたが、本人は体も心もついていけない様子でした。

出産翌日には、同じく高校生だった彼が家族を連れて来院。有名な進学校の制服を着ていました。もちろん彼も彼女が妊娠していたなんて知りません。血の気の引いた真っ青な顔で、ただ呆然と保育器の中の赤ちゃんを眺めている。そんな彼の隣で、彼のお母さんは「絶対うちの子にはあり得ない。DNA鑑定してください!」と言って取り乱すし、彼のお父さんはそんなお母さんに「お前がちゃんと見てなかったからだ!」と責めていた。結局、彼とその家族は赤ちゃんに一度も触れることなく帰りました。

本来なら女性だけに責任を負わせるのは間違っていると思いますが、妊娠や出産は女性の人生を大きく変えます。若くして妊娠した人たちの中にも、産後のサポートを誰からどう受けるか、どうやって学業と両立するかなどを妊娠期間中に考えて出産する方もいます。その彼女も性に対する知識を持っていれば、長らく生理が来ていないことに気づいて検査していたかもしれないし、場合によっては中絶を選んだかもしれない。その前段階で、避妊や緊急避妊ピルなどの知識を持っていたら。人生は大きく変わっていたかもしれません」。

子どもに性教育を広める活動をする 親里美菜子(ちかさとみなこ)さん

「性の知識があれば、トラブルが起きても解決に向けて対応できます」と話すのは、順天堂大学医学部附属順天堂医院の泌尿器科でかつて看護師として勤務し、現在は子どもたちに性教育を教えている親里美菜子さんだ。

「緊急避妊ピルを性交後72時間以内に服用すると、妊娠を約90%回避できます。病院によっては保険証なしでも受診可能。それまでに性教育をしてくれた親になら不安になった時に相談してくれるかもしれないし、たとえ親に話せなかったとしても子どもが一人で病院に行くこともできます。選択肢があることを教えておくことは、子どもの心を救うことに繋がります」。

続けて親里さんは、自分自身が予期せぬ妊娠を経験したことで性教育の重要性を実感したと話す。

「私が2人目を妊娠したのは、長男がまだ7ヶ月のときでした。当時は初めての育児に翻弄されていたので、妊娠が判明したときは正直、頭が真っ白になりました。私は職業柄、性の知識を持っていましたし、年齢的にもいい大人。だけど妊娠しないだろうと考えていた。大人で知識があっても予期せぬタイミングで妊娠してしまう。それなら知識がない上に性的欲求の強い中高生だったらどうなるだろう、と思いました」。

親里さんが子どもたちに性教育を教えている時の様子(筆者撮影)

性教育を行うことで、望まない妊娠を大幅に減らすことができることは実証されている。秋田県では20歳未満の人工中絶率が全国平均を上回ったことを受け、県内すべての公立中学校と高校で性教育講座を実施。講座では医師や助産師が講師となり具体的な避妊法について教えた。すると2000年に17.7%だった中絶率が、2018年には3.1%と大幅に減少。性の知識があれば、望まぬ妊娠が防げるのだ。

男の子にこそ性教育を

さいとうさんは「男の子にこそ性教育が必要」と話す。それはなぜだろうか。

「女の子は性被害を受けないよう、日常的にお母さんから『暗い道を一人で歩かないように』とか『露出の高い服を着ると危ないよ』とか声をかけられることが多い。しかし、男の子はそういう言葉はほとんどかけられません。小学校でも性教育の授業はたった1回だけ。なので、男の子が性教育を学ぶ機会は本当にないんです。

男の子は女の子と比べ、性被害に合う確率は低いですが起こりますし、加害者になるのは男の子が多い。現代の子どもたちはポルノ動画から性の知識を得ることが増えていますが、レイプまがいのセックスが当たり前だと信じていたり、相手が嫌がっていても本当は喜んでいるのだと誤った認識を持っていたりします」。

実際、性同意を得ていると思っていたが相手はそうではなかったため逮捕されるというケースが増えている。間違った情報を簡単に手に入れやすい時代だからこそ、加害者にならないための性教育が必要だ。

ステップ①「家で性の話をしてもいい」という雰囲気を作る

家庭での性教育はどのように始めればいいだろうか。性教育をする時期について2人は〝3歳から10歳まで〟に始めることを薦めている。

「思春期を迎える前に始める方が、親子ともに心理的なハードルが低く、やりやすいです。幼少期なら一緒にお風呂に入りながら『お母さんとあなたの体違うよね』と話すとか、お母さんが生理の時に『今日は生理だからしんどいんだ』、『生理って知ってる?』みたいに話してみても。もうすでに一緒にお風呂に入っていない時期なら『ちょっと大事な話があるから聞いて』と話してもいいですよ」。(さいとう)

日常生活において、性教育を行うベストなタイミングはあるのだろうか。

「難しく考えて緊張する親御さんもいますが、その必要はありません。あくまで〝楽しさ優位〟でいい。お母さんは、子どもが下ネタで盛り上がるとつい顔をしかめたくなりますが、子どもと同じ目線で笑ってしまえばいいんです。そうすることで子ども側は、『家で性の話をしてもいいんだ』と受け取ってくれます。

それに、真面目に話せば話すほど、子どもは覚えてくれません(笑)。ですので、子どもが興味を持っている話題にフォーカスして話すのがおすすめです。例えば、自宅でメダカなどを飼っている家庭なら『交尾をして卵を産んだから赤ちゃんが生まれたね』。テレビで動物が交尾をするシーンが流れたら、『子孫を残そうとしてるね』とつぶやいてみるとか。『普段食べている鶏の卵は無精卵だけど、有精卵とはどう違うのかな』なんて話題でも」。(さいとう)

生殖にまつわる話題で、子どもが興味を持ちそうなものであればなんでもいい。難しく考えず、子どもの視点に合わせて楽しんでやることが大事なのだ。

性教育を教える際、情報をまとめて伝えた方が子どもは理解しやすいのだろうか。

「いいえ。子どもは一度に教えられてもよく理解できないものです。なので、なるべく一度にたくさん教えず、『小分け』にして教えてください。性教育と聞くと、よく『セックスのことを教えないと!』と身構える親御さんもいますが、子どもはいきなりそれを教えられてもわかりません。男女の体の仕組みから細かく階段を登るように教えてください」。(さいとう)

 

ステップ②第二次性徴について教える

男女の体の違いが理解できてきたら、次は思春期に訪れる体の変化、いわゆる第二次性徴について教えよう。

「思春期になると胸やペニスが大きくなったり、声変わりしたりしますが、子どもは自分の体の成長について見通しがつかないもの。発達してきた自分の体の変化を受け入れられない子どももいます。たとえば胸は徐々に発達していくものですが、『ある日急にポン!と大きくなると思ってた・・・』なんて言う子も。第二次性徴について事前に教えておくと、子どもたちも思春期を安心して迎えられます」。(さいとう)

「男の子の精通は生理と同じようにある日突然訪れます。『下着についたら洗ってから洗濯機に入れてね』と伝えておけば、その日が訪れた際に子どもも慌てません」(親里)。

 

ステップ③妊娠の流れやセックス、避妊、中絶などについて教える

第二次性徴まで理解が進んだら、今度は性交(セックス)や、卵子と精子が出合って受精卵になること、妊娠から分娩までの流れなどについて教えよう。また、子どもが理解できそうであれば、避妊や中絶についても伝えてほしいと、さいとうさんは話す。

「ある程度の年齢になれば男の子も女の子も性的欲求が出てきます。信頼できる人となら性交渉してもいいと思いますが、避妊をしてねと伝えましょう。もし避妊に失敗してしまった場合も取れる手段があることを伝えておいてください」。

「性的欲求をコントロールするのは大事なこと。欲求に振り回されて人に襲いかかるのはご法度ですが、自分で処理できるならいい。家族から見えない場所でという前提でセルフプレジャー(自慰行為)を認めましょう」。(親里)

〈先生教えて!Q. 思春期までにすべてを教えないといけない?

子どもにわかりやすく教えるために性の知識は小分けにして教えることを学んだ。しかしそれでは性に関するすべての知識を思春期までに教えることはできるだろうか。

「焦らなくても大丈夫。まず体の仕組みなどの土台の知識や、家庭で性の話をしてもいいんだという雰囲気が作れていたら、そのあとのことはいつでも教えられます。子どもが高校生くらいになって交際相手ができた時、それまで性の話なんて一度もしなかったのに、急に親が『避妊してるの?』なんて言うと、子どもは嫌がってしまう。家で性の話をしてもいいという環境さえ作れていれば、思春期以降もお互いスムーズに性の話ができます」。(さいとう)

〈先生教えて!Q. どうしても恥ずかしさが消えないのですが

いざ我が子に性教育をしようと思っても、「やっぱり恥ずかしい・・・」なんて尻込みする人も多いのではないだろうか。実はさいとうさん自身も、かつてはそういう思いがあったと言う。

「我が家は子どもたちが小さい頃、カブトムシを飼っていました。ある日長男が『ママ見て!おんぶしてる』と持ってきたのは、交尾中のカブトムシ。私はそれを交尾しているとは言えず、真顔で「うん、おんぶしてるね」と返したんです(笑)。今思えば性の話をするチャンスでした。

恥ずかしさを克服するには、とにかく性の話を子どもにしてみること。そうすると、まだ「性=性産業」とイメージしない子どもたちは興味津々で聞いてくれます。子どもたちは、セックスや交尾のことを子孫を残す行為だと捉えているから恥ずかしさはありません。私が勇気を出して初めて性教育をした際も、子どもの反応は『へ〜』だけ(笑)。『恥ずかしいと思っているのは大人だけ』なんです」。

健全に思春期を過ごす ためにも性教育は大切

性教育は「子どもと信頼関係を築くためのツール」

「自分自身が性教育に興味を持ったことで、その後訪れる思春期にもドンと構えられるようになった」と、さいとうさんは続ける。それはなぜか。

「母親は、特に子どもが男の子だと、体のことがよくわかりませんよね。なので、男の子の体が大人になるまでにどう変化していくのかを知っておくことが、一つ安心材料になります。

それに加え、性教育は愛情を伝えるツールにもなります。子どもに性教育をすることで、その子自身が生まれて来た経緯を話す機会が増える。例えば、『あなたはお父さんとお母さんが愛し合ってできた子だよ』とか、『妊娠の間はこんな気持ちだった』とか。そういった会話から親の愛情が子供に伝わり、『お母さんになら何を話しても大丈夫そう』という信頼関係が生まれるのです。

子どもたちは思春期を迎えると、自分と周りを比較するようになります。そのせいでなかには自信を喪失する子も。あの子と比べて勉強ができないとか、足が遅いとか、可愛くないとか、インスタでいいねが少ないとか。しかし、自分が愛されて生まれてきたことや、いつも見守ってくれている人がいることを知っていると自分に自信が持て、悩みがちな思春期を健全に乗り越えられるようになります」。

さいとうさんがこれまで相談を受けた家庭から、実際に性教育を行なった感想を聞くと、「勇気を出してやってみたら子どもたちとの関係がとても良くなった」、「子どもが何でも話してくれるようになった」、「子どもが甘えてくれるようになった」などと言われたそうだ。また、子どもが思春期を迎えた親たちからは、「娘が初潮がきたことをうれしそうに報告してくれた」、「彼氏の話をしてくれるようになった」などの感想も寄せられたという。親が安心して子どもの成長を見守っていくためにも、性教育は欠かせない。性の知識を教えながら、今しかできない子どもとの会話を楽しもう。

 

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