【ひとりごとエッセイ】一番聞かれたくない質問から気づいた、ちっぽけな自分のこと。

「一番好きなカフェはどこですか。」

これは私がカフェ専門ライターをしていることを伝えると、伝えた相手からよく尋ねられる質問だ。そして、訊かれるたびに「あぁ、来ちゃったね」と毎度頭を悩ませる質問でもある。

「一番好きなカフェ」を聞かれることは、「あなたの友達の中で一番魅力的な人はだれ」と聞かれる感覚に近い。優秀だから、個性的だから、美人だから、という理由で、「この人が一番です」とはならないだろう。誰かや何かを好きになるのに理由なんて大抵ない。

そんな私の中にも、特に気に入っている店はいくつかある。でもそれを答えていいのだろうか。なぜなら、それらは空間が抜群にいいとか、最先端のコーヒーが飲めるとか、お菓子がめちゃくちゃ美味しいとか、店主が話上手とか、そういうわかりやすい特徴があるわけではない。静かでほっと落ち着く、気兼ねなく一人で過ごせる、オーナーと気軽に話せる、そんな何気ない店ばかりだ。きっとそれは質問した人が聞きたい答えじゃないだろう。聞いた相手をガッカリさせやしないか。

先日、喫茶店が大好きだという女性に出会った。彼女は大学三年生の頃から喫茶店の魅力にハマり、都内はもちろん、喫茶店巡りのために関西や名古屋にまで遠征しているという。喫茶店好きが高じ、仕事を辞めて現在は喫茶店の店長を務めている。そんな彼女に、ある種すがるかのように先ほどの質問をしてみた。「一番好きな喫茶店はどこですか」。

彼女はやはり困惑の顔色を浮かべた。やっぱりそうですよね、難問ですよね。

でもこの質問を実際に自分でしてみてわかったのは、ここでどんな答えが返ってきたとしても案外納得できる、という事実だ。その店に大きな特徴がなかったとしても、彼女の心の中だけで大事にしている店を知れたとしたら、それは大きな収穫だと感じるのではないか。

この質問が難問だと思っていた理由は、正しい答えが見つからないこと以上に、「この答えをすると相手からどう思われるか」に囚われていたことに気づく。相手に「なるほど」とか「やっぱりいい店知ってるな」とか思われたい邪な気持ちが、ただ愛着があるだけの店を挙げることを躊躇させている。

そういう気持ちは、日常生活や仕事の現場にもよく転がっている。「この場で自分の考えを言ったら相手にバカにされるかな」、「わからないって言うの恥ずかしいな」などの感情は、きっと特別なものではないだろう。でもそこで勇気を持って自分のダメさをさらけ出せたとき、新しい知識や情報が自分の中に入ってくる。

難問が難問だった理由がわかったと同時に、自分の小ささに気づいてしまった。そうか、ちっぽけな自分をさらけ出す勇気がなかったから、これまでこの質問に答えられなかったんだ。次からは勇気を出して答えてみよう。

自分のダメさをさらけ出すのが怖いと思ったこと、あなたにもありますか?

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2 thoughts on “【ひとりごとエッセイ】一番聞かれたくない質問から気づいた、ちっぽけな自分のこと。

  1. こんにちは。
    「一番好きなカフェはどこですか」って
    質問してはいけない質問だったのですね(笑)
    以後気をつけます。

    • やだー!全然いいですよ笑 ただいい答えが見つからなくて、逆に申し訳ない気持ちになっちゃって。ベストな返しを見つけたい〜。

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